盗っ人降参!特注さい銭箱                                  

 神社のさい銭箱からお金を盗み出すさい銭ドロ。このバチ当たりな犯

罪を防ごうと、江東区の町工場が考案した「からくりさい銭箱」の評判が

じわじわと広がっている。お金を取り出すまでに何重もの仕掛けが施さ

れた特注品は、被害に悩む地元の地蔵堂の要望で作られたが、愛知

や長崎などの神社からも注文が入り、効果を上げているという。昨年、

全国で5000件を超えたさい銭ドロを食い止める“秘密兵器”となるか

――。(横山就平)

 「からくりさい銭箱」を作ったのは、手すりや門扉などの建築資材を製造している同区の伴田鉄工所(扇橋1)。2000年頃、さい銭ドロに悩まされていた近所の小名木川地蔵尊(扇橋2)を管理する同尊維持会のメンバーから、同社の伴田茂社長(61)に、「良い方法はないか」と相談を持ちかけられたのがきっかけだった。

 当時、同地蔵尊では木のさい銭箱を置いていたが、箱のカギを壊されるなどして年2~3回、数万円程度の被害が出ていた。

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さい銭ドロの撃退に自信をのぞかせる伴田さん

 そこで伴田さんは、どうすればカギを使わずに箱の中身を取り出せるか考えた。約1か月間、試行錯誤を重ね、詳細は「企業秘密」(伴田さん)だが、取り出すまでに何重もの仕掛けを施し、素材も厚さ3ミリのステンレスを使った風変わりなさい銭箱(縦25センチ、横40センチ、高さ30センチ)を完成させた。

 同地蔵尊に置かれてから10年たつが、同会経理担当の吉田寛さん(74)は「今まで壊されたり、お金が盗まれたりしたことは一度もない」と喜ぶ。

 特注品のため、その後は製作していなかったが、07年に同社のホームページの開設を機に掲載したところ、これまでに愛知や長野、長崎県などの神社・寺から計19件の注文が寄せられた。いずれも被害はなく、現在も埼玉県和光市の神社のさい銭箱を製作中だ。

 それぞれ箱の中の仕掛けが違うため、販売価格も5~18万円と幅広い。1個の製作に1か月程度かかるが、伴田さんは「このうち3週間はからくりを考えることに費やしている」と話す。

 「今までにからくりが破られたことは一度もありません」ときっぱり語る伴田さん。さい銭ドロの撃退に自信をのぞかせている。

(2010年3月13日  読売新聞)
*:価格ですが現在は材料の値上げ等があり上記の通りでは御座いませんのでご了承下さい。